夜中までやってるマッサージ屋を見つけて
飛び込んでみた。
中に入って、少々面食らった。
韓国のイケメン俳優のポスターが
壁一面に貼ってある。
そして、目に入る文字はハングルばかり。
緊張した。
だって、私は
「アニョハセヨ」と「カムサハムニダ」しか
韓国語を知らないんだもの…。
☆☆☆
イケメン俳優みたいな青年が一人、
日本語をまったく話せない50代と思われる女性が一人
(彼女は、どうやらマッサージ師らしい)、
小さな男の子と、そのお姉ちゃん。
このチビちゃんたちには、
「こんにちは」も通じない。
マッサージ師の女性が、
「ケンコウ(健康)?アロマ?」
と聞いてきた。
肩を押さえて「ココが痛い」と伝えたら、
「ア、ソレ、ケンコウネ!」
と、「健康コース」を促された。
☆☆☆
「チョット待テル?」
と聞かれる。
男性のお客さんが一人待っていたようだ。
「チョットなら…」
と答えると、
「チョット待ッテテ。呼ンデクル。」
と、その女性。
はは…ん…きっと、この女性の旦那さんか誰かが
マッサージ師で、
家で待機してるんだな…と思いながら、
待つこと10分。
イケメン俳優風の青年が、顔を出して、
ベッドの上で足をブラブラさせながら待っている私を見て、
「マダ、来マセンカ?」
と驚く。
話してわかったことだけれど、
この青年は、日本語が割と上手。
半年、日本語を勉強したらしい。
ニッコリ笑って、うん、と頷くと、
「モウ一回、呼ンデキマス!」
と、どこかに出て行った。
息子かと思ったら、そうではないらしい。
たまたま遊びに来ているのだとか。
でも、彼がいたおかげで、
少し落ち着いた。
彼なしでは、まるで異国なんだもの…。
☆☆☆
二階に上がって行ってた、チビちゃんたちが降りてきた。
お姉ちゃんは、愛想がないと思っていたのに、
いきなりベッドの上に上がってきて、
私の肩を揉み始めた。
あまりに突然で、
動揺した。
「え…?」
と振り返ったら、
「サービスダヨ」
と、ボソッとお姉ちゃんが言った。
それがさ、上手なんだよね☆
私なんかより、ずっと上手。
「ありがとう〜 ^-^」と
気持ち好く、サービスを受けることに。
☆☆☆
そうこうしてるうちに、気の良さそうな
体格のいい女性が
「ゴメンネ!」
と言いながら、入ってきた。
この人が、私の担当らしい。
皆で、私のわからない言葉を、ひとしきり話して、
「ウツブセネ」
と促され、私のマッサージが、
やっと始まった。
☆☆☆
「パチンコ行ッテタヨ〜!」
背中を押しながら、悪びれもせずに、
その女性がいきなり言った。
は…?
パチンコ???
なんか、その唐突の告白が可笑しくて可笑しくて、
私はケラケラ笑ってしまった。
☆☆☆
「アナタ、パチンコ、シナイ?」
と聞かれ、
「しな〜い」
と答えると、
「イイネ〜。ホント、ソレガイイヨ!
私、パチンコ、ビョーキ!」
と、また告白。
あの青年は、パチンコ屋に、
何度も彼女を呼びに行ってたワケだ。
そりゃ、帰ってこんわな…。
☆☆☆
「パチンコ、勝った?」
と聞いたら、
「全然!全然ダメ!」
と彼女。
20分くらいしたら、また、
「アナタ、本当ニ、パチンコ、シナイ?」
と、聞かれた。
「一度モシタコト、ナイ?」
と畳み掛けてくる彼女に、
「一度だけ。でも、全然ダメだったから、もうしない」
と言うと、すごくうらやましがられた。
嗚呼…そんなにパチンコにハマってるのかぁ。
お気の毒さま!?
☆☆☆
マッサージは、とても上手で、
「上手」=「ツァランダー」
と、
「気持ちいい(&嬉しい)」=「キム ニー ト スミダ」
(こう聞こえた)
という言葉を教えてもらった。
気持ちいい、と思う度に
それを言ったら、
「アア!モウ覚エタネ!」
と、嬉しそう。
名前を聞いたら、
「リッカ」さん、とのこと。
一番最初に会った女性が、リッカさんのお姉さんで、
お姉ちゃんとチビちゃんは、
リッカさんの妹さんのお子さんだそう。
お姉ちゃんは韓国に住んでいて、
夏休みで日本に来てるんだって。
10歳と3歳。
あれ…もも&ななとおんなじだ ^-^
☆☆☆
「マタ来テネ!」
と、リッカさん。
多分、行くと思うけど、
私のマッサージ代…パチンコで消えてくんだろうなぁ。
増えてくといいねぇ、リッカさん☆
「ココガ大好キ!」
とリッカさん。
韓国には帰らないで、日本に
ずっと住むんだって。
日本のことを好きな韓国の人に会えて、
ちょっと嬉しくなった。