「貴女のこと、○○さんから
よく聞いていたわよ」
そう話しかけてくださったのは、
4年前の『パリ祭』での稽古場でした。
歌い手さんたちが、こぞって憧れていた
大木康子さんに、そんな風に声をかけていただいて、
中学生みたいに、紅くなった気がした夏の日の午後でした。
その向こうに宇宙が広がっているような、
深くて大きな瞳で見つめられると、
ほとんどお話したことのない私でさえ、
「何かお役に立てることないでしょうか…」
と思わずにいられなくなるような…
そんな魅力を持っている方でした。
☆☆☆
2月2日。
ご逝去。
あまりにも早過ぎた、
淋しいお報せ。
困ったようなはにかんだ笑顔の大木さんに
今年の『パリ祭』で、お目にかかれないことが、
今はまだ、ピンときません。
稽古場の一番前の席に、
大木さんの後姿を、探してしまいそうです。
心から、ご冥福を
お祈り申し上げます。